面妖な問い合わせがあった次の夜、僕は年甲斐もなく絶叫し、尻を触られていた

どうもこんにちは!
ウエンツさんをテレビで見るたびに、ほらがんばって喋れ!いや、やっぱり頑張らなくていい、と自分事のように胸がしめつけられるスベりブロガーのムカイです。

田舎にミュージシャンがやって来る

その夜、私は何年かぶりかで絶叫しておりました。

地元のライブハウス「M’AXA(マクサ)」で。

M’AXAはキャパ2〜300人ぐらいの箱で、こんな片田舎にありながら、ちょいちょい大物ミュージシャンがやってきます。

ミュージシャンの人たちは、こんな田舎までどんな移動手段でやって来るのでしょうか。

 

三重県内に空港は無く、電車で来るなら近鉄で名古屋から1時間5分、難波から1時間半。

松阪駅で下車してさらに車で10〜20分。

 

その日(2018年6月29日金曜日)、私は当日券を求めて並ぶの列の中、前に並んでいた大阪から来たという女性と言葉を交わしました。

前日の心斎橋でのライブを観て、今日の松阪のライブも観にはるばるやって来たといいます。

しばらくしてその方のお仲間が2人来られ、この松阪まで来るのにどんなに苦労したかという話を始めました。

私は黙って聞いておりました。

会話の枕詞にちょいちょい「田舎やから」という言葉がつきます。

地元民ですが別に腹は立ちません。

事実田舎でございます。

 

JOY-POPSの説明

JOY-POPSというユニットのライブがこの松阪で行われることを知ったのは、もうチケットが売り切れた後でした。

というより、JOY-POPSというユニットが復活したこと自体存じ上げませんでした。

しかも全国ツアーでこの田舎にもやってくる。

これは驚天動地の出来事です。

当日券が出る可能性があると知り、私は万全の準備をしました。

 

実を申せば私は、人混みが嫌いなうえに、見知らぬ人と肌と肌が触れ合うのも遠慮したいタチの人間でございます。

さらに歳とともに小用の方が近くなり、2時間超もの時間を紙おむつなどのサポートなしで耐えられるかどうか。

立ちっぱなしで腰を痛めないだろうか。

そもそも当日券が入手できるのかどうか。

並んでいる間、雨が降らないか。

晴れたら晴れたで熱中症にならないか。

日焼けしちゃうし。

心配性の私にとって心配の種は尽きません。

それでも当日は幾分テンションが上がっておりました。

 

 

 

JOY-POPSというのは、ギターと歌の2人ユニットです。

The Street Slidersというバンドのフロントマン2人であります。

80年代の一時期、ちょっとだけ組んでいたユニットです。

バンド自体は2000年に解散しています。

 

ユニットの一方の土屋公平氏がバンドを抜けたいと申し出て、それならバンド解散だ、となったという話です。

だから、この2人が一緒のステージに立つことは、ひょっとしたらもうないんではないか?

解散の経緯と、その後の活動状況から私はそう思っていましたし、多くのファンもそういう思いだったんではないでしょうか。

 

だからこそ、その日もオーディエンスの熱狂はひとしおだったのでございます。

私は最初はおとなしく観ていたものの、徐々に周りの熱狂にほだされていきました。

 

当日券をゲットする

ライブの前日、仕事用サイトのお問い合わせページから面妖な問い合わせがありました。

問い合わせがあると、メールに通知が来るシステムです。

 

すわ、仕事か!?

 

と私はいきり立ちました。

果たして仕事依頼ではありませんでした。

「明日のJOY-POPSのチケットあるので譲ります」

という、チケット買いませんかメールです。

「仕事用のにこんなの送ってきて。んもう!」

勇んでいた私は失望いたしました。

私は仕事用サイトのプロフィールページに、趣味のバンドでThe Street Slidersのコピーをやっていたことを書いております。

「松阪 スライダーズ」で検索すると上位に出るようなのです。

チケットの売り先を探して検索し、それで連絡をくれたとのことでした。

知らない人からのいきなりの連絡でうさんくささを感じましたが、一応返信をしておきました。

「いくらでお譲りいただけるのでございましょう?」

 

 

結局チケットは別の人に売れてしまい、申し訳ないから当日かわりに並びますよ、という返信が来ました。

どうやらうさんくさい人ではないようでした。

 

その方は当日券の列の先頭におられました。

私は12〜3人目ぐらいの位置にいたので、先頭と変わりますよ、との提案を受けました。

図々しいことを良しとしない、決して大成しないであろう遠慮がちな性格の私は、せっかくのその親切を断り、自分の並び順で会場入りしました。

思わぬ親切を受け、スラーダーズファンに悪い人はいないぞと、私はいい気分になりました。

 

観客ウォッチング

全然ノッてない兄さん

当日券というからには会場の最後列になるのは承知の上でした。

私は位置取りで失敗を犯しました。

前に背の高い男性が二人いるではありませんか。

前の方の男性は横幅も大きい。

そのせいで、ステージの二人を同時に視界に入れることができません。

体を揺らすふりをして、オッサンの両側からステージの二人を交互に見ました。

しかし、二人がステージ中心でギターを向かい合わせに弾くという、何度かあったハイライトシーンが全く見えません。

私は前に立つオッサン二人の首と首の隙間からなんとかステージを覗きました。

オッサン二人のうち、後ろに立つ男性(若干若め)は、終始まったくノっていないように見受けました。棒立ちです。

それほどコアなファンではなかったのかも知れません。

案の定、アンコール前にそそくさと帰られ、おかげで多少は視界が広がりました。

談志師匠風のオッサン

私の隣には、立川談志師匠風のメガネ×バンダナの、見た目50過ぎの背が低めのオジサンが立っておられました。

途中、細かいリズムを刻むアップテンポの曲になったとき、そのオジサンが急に飛び跳ね始めました。

テンションが上がってこらえきれなくなったのでありましょう。

ガンガン当たってこられるので「んもう!」と思わないことはありませんでしたが、そんなオジサンまで飛び跳ねさせてしまうステージングすげえと素直に思いました。

最後尾の壁際にいた二人

ライブの始めから終わりまで激しく咆哮していたのが、私の斜め後ろに立っておられる男性でした。

後ろの壁際です。

最後尾から雄叫びを上げ続けておられました。

 

さらに私の真後ろには、少し遅れてはいってきた、水商売のママばりのしわがれ声の女性が立っておられました。

昔行きつけだった地元のキャバクラのママの声にそっくりだったので、

すわ、本人か!?

と思い、振り向いてみましたが全く別人の、背の低いかわいらしい女性でした。

私はそのハスキーボイスから、彼女のたどってきた人生をあれこれ想像しました。

 

その二人が何かと会話しているので知り合いなのかと思いました。

しかし男性は東京から来ておられ、女性は地元の方で、全くの初対面だということが会話でわかりました。

 

アンコール前までの演奏が終わり、ステージからアクターがはけ、しばしの間観客の手拍子が続きました。

はたしてアンコールはあるのか?二人は出てくるのか?

私はステージ上でローディの方がギターをチューニングしているのを見て「あるな」と確信しました。

しかし後ろの男女二人が「ホントに出てくるのかなあ」と心配しておられましたので、私は振り向き、

「チューニングしてるから出てきますよ」

とお節介をしました。

すると二人はフレンドリーさを爆発させ、私の肩や腕をバンバン叩いてぐいぐい喋ってきました。

「お兄さん、スライダーズファンにしては若いねえ!!」

と言われたので実年齢をいうと、その東京から来た、キャップに長髪、Tシャツにデニムパンツのロックお兄さんと同い年であることがわかりました。

お姉様の方はずいぶんお若く見えましたが、私どもより上とのことでした。

私は

「ハタチにしか見えませんよ」

と見え透いた世辞を言い、その場を盛り上げんと努めました。

二人は意味不明にも、私の尻をバンバンさわってきました。

高校の修学旅行でバスガイド嬢に見せつけて、いや見られてしまって以来チャームポイントである私のプリティなケツを。

「ちょっと!高くつくよ!」

と警告する間もなく、アクター二人がステージに再登場され、ふたたび会場は熱狂に包まれました。

絶叫

そのような熱狂の中、私は徐々に叫ばずにはいられなくなって参りました。

否、叫ばなければ損だ、絶対悔いが残る。

私はライブ後半から絶叫し始め、

「ハリィィィィィィィィィーーーーーーーーー!!!!!」

「こぉへぇぇぇぇーーーーーーーーーーー!!!!!」

と二人の愛称を声がかれるまで叫びました。

何年ぶりでしょう。

数年前の税理士会の忘年会で聖飢魔Ⅱの「地獄の皇太子」をシャウトし、重鎮に苦い顔をされて以来かも知れません。

 

帰り道、すっかりカタルシスを得た私は、なんだかスッキリしていました。

たまには大きな声を出すことも必要なのだと思いました。

 

 

興奮冷めやらぬ私は、高校時代スライダーズの追っかけをしていた妹にメールしました。

妹はすっかり音楽から遠のいており、再結成のことも全国ツアーのことも全く知らず、たいそう驚いておりました。

わたしは誇らしい気持になりました。

 

ひとつだけ悔いが残るとしたら、談志師匠の向こう側に立っていた綺麗な女性とお話ししたかったという点であります。

もちろん、いろいろなものをこじらせている私には話しかけるなんてできません。

私は意気地なしです。

 

 

おしまい

 


おまけ

ライブ後の土屋公平さんのツイート